年間第11主日(B年)

マルコ4:26-34

 今日の福音は神様の不思議な摂理について話しています。

 「神の国は次のようなものである。人が土に種を蒔いて、夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出して成長するが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。」神様の摂理が地上で行われる過程はまるで種が成長することと似ていると仰せになりました。種が実を結ぶまでの過程はとても不思議です。ところが、この過程に必要なことがあります。それは「時間」です。種を蒔いてから、翌日に実りを期待することはできません。とにかく忍耐しながら待つことになります。それは妊娠した時、その瞬間に出産が始まるのではなく、10ヶ月ほどの産みの苦しみを乗り越えるようなことです。生命を持つ全てのものは、工場でポンポンと製品が出来上がるような、コーピー機からどんどん紙が出るような事ではありません。必ず時間を必要とします。

 これと同じく、私達の信仰が成長して実を結ぶためにも時間が必要です。また、誰かを本気で愛するにも、許すにも多くの時間が必要です。私達の愛がより完全で深くなる為にも時間は必要なのです。信仰、赦し、愛のような生命を持つ全てのものは、今日の福音で語る種のように「待つ時間」が必要です。だから今すぐ自分の信仰が足りないから、許せないから、誰かを愛するのが難しいから、ミサが始まらないからと絶望しないで下さい。夜昼、寝起きしているうちに、知らないうちにこれら全てが少しずつ成長して行くことを気付く時が訪れます。今の努力を止めずに、諦めずに日々、成長を続けましょう。

(滋賀ブロック担当司牧者)